きれい好きの友達と、とくに気にしないおれ。
友達のきれいな車で田舎を旅行していたら、
雨降り後の汚い地面に横滑り。道路をはみ出て転げ落ちて行った。
あちこち打ちはしたものの、特に大きな傷もなく。
道具がなくても歩いて道に戻れそうな場所を探して歩いていたら
すっかり迷ってしまっていた。
「なあ、いるんだろ? 置いていくなよ」
茂みの向こうから友達の声。
「ああ、置いて行くわけないだろ」
木の葉を傾け、落ちる雫を口にしながら、
おれは数えるのも飽きたほどの脱糞休憩に体を休める。
「でも、なんでお前は平気なんだよ」
微妙な いきみの混じる声で言われ、
「わかんないか?」
地面をたたく水音を気にしないように、おれは答えた。
「普段から無菌だの除菌だの、厳重に防護服を着て
抵抗してる気になってたのに、服を脱いだら
すっぱだかの貧弱な坊やだったってのが、今のおまえだ」
「じゃあ、おまえはなんなんだよ」
おれは答える。
「体自体が防護服だ」