深い深い海の底、男はまるで未知の惑星を歩く
宇宙飛行士のような姿でお宝を求めて歩いていた。
その息苦しさ、動きにくさに不満を覚えつつ、
冒険心と期待と慣れによって彼は今日も探し回る。
だが底についてから少々、なんの気まぐれか
酸素の残りを見た彼は思わず叫んだ。
「一気に引き上げてくれ! 全力で浮上しないと死ぬ!」
頭から一気に引いていく血の気、恐怖に縮まる胸。
海面の小型船で割れた声を聞いた相棒は飛び上がる。
「まて! 急には上げられない!」
装置に向かい、汗を拭き。
「一気に浮上すると死ぬ!」