「朝会社に行くとさ、ちょうど一緒になる子がいるんだよ」
久しぶりに飲んでいたら、酔いがいい感じに回ったのか、
友達がぼそりとつぶやいた。
「それが、小さい背でちょっと前をちょこちょこ歩くんだ。
それもかわいいし、長い髪は後ろで二つに結んでて、
幼い感じだけどすごくいい」
「へえ〜」
普段そんなことに興味ないように見えて、
こいつもやっぱり年頃だってことか。
「仕事で別の部署行くとその子がいるんだけど、
横で見てるといつもにこにこして人当たりもいいし、
やわらかな声はずっと聞いていたくなるくらいだ」
「おまえがそこまで言うなんてなあ。告白したらどうだ?」
おれの言葉に頭を振って。
「だめだ」
「なんだ、彼氏持ちか?」
「ああ! 神様! どうして……!」
転げ落ちるほどの勢いにうなだれた頭を両手で支え、嘆く。
「どうして、顔の造形に手を抜いたんですか……!」