「ただいま〜」
「おかえりっ」
疲れた顔で扉を開けるだんなさんをお出迎え。
「ごはんできてるよ」
「うん」
彼が着替える間に用意しちゃおうと廊下を戻りかけると、
「愛してる〜」
後ろから抱きしめてきた彼の腕が体をまさぐる。
「やっ、あっ、ちょっ、もう、なに?」
「君のエプロン姿にひかれたんだ」
首筋に顔をつけて、手は服の中へ。
「だめ、シャワー浴びてからにしてよ。
料理してて汗かいたから〜」
振り切ろうとするわたしをさらに強く抱きしめて。
「気にしないよ、そんなの。むしろ、それがいい」
「あーもう、変態! ごはん冷めちゃうよ。この奴隷!」
「奴隷ってなに」
一瞬気がそれたところでわたしは脱出。
荒くなった息と乱された服を整えながら彼と向き合った。
「最近わからなくなるんだ。
本物のあなたは、もしかしてそっちじゃないの?」
そっち。あの人の股間の生物。
「ええ? なんでさ」
「そんな小さい子が、『えっちしたいよー』、
『むらむらしたよー』、って言うと、
あなたは大きな体で『ははーっ、仰せのままに』って
見境もなく襲ってくる。ご主人様とその奴隷みたいで、
わたしそんなの好きじゃない」
「なんだよ、ひどいなあ」
しょんぼりするその体、その胸に、わたしは頭を軽く当てた。
「最近、ちょっと興味あるんだ」
「うん?」
頭を包む、その彼に。
「ご主人様から開放してあげたら、あなたはどうなるのかって」