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2006-11-09
気まぐれ銀行
「そうだ、昨日は結構勝ったよ」
「パチンコ?」
「ああ」
朝。始業時間前に用意をしていると、
前の席でおじさん二人が話し始めた。
「いくら勝ったんだ?」
「八万」
――八万?
「すごいですね。一晩でそんなに?」
思わず口を出すと、得意げな顔で。
「ああ。パチンコ屋なんて銀行みたいなもんだ」
そこへ横からおじさんの声。
「預金に比べて引き出せる金はやたら少ないし、
手数料がばか高い銀行だけどな」