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2013-08-14
ライラの冒険 黄金の羅針盤
THE GOLDEN COMPASS
2007年 アメリカ
ここではないファンタジー世界の女の子が主役です。

主役は寄宿舎もある学校で、いたずらでとある部屋に
隠れることになります。
そこで、おじを暗殺しようと飲み物に毒が入れられるのを見て、
おじがそれを飲むのを止めて助けます。

おじはその後、研究のために遠くにいきたいので
資金を出してくれと学校のお偉いたちに言います。
認めさせます。
ただ、その研究は学校などの支配を覆すらしいので、
支配者にとっては邪魔らしいです。

おじは主役に、出発前に黄金の羅針盤というアイテムを渡します。
それは、使えるものが使うと、何でも答えがわかるという
ものだそうです。
そのため、周りには秘密にしろと言われます。

主役は悪者の女に見出され、北国につれていかれますが
途中で脱出します。
ガンマンやしゃべる熊などと知り合います。
熊は王子でしたが卑怯な手で国を追われたようです。

主役は戦闘中にさらわれます。
その熊の国に連れて行かれます。
殺されてはたまらないので口八丁で、知り合いの熊と
戦わせることにします。
知り合いの熊が勝ちます。

その後、熊と二人で、胸騒ぎがした地点を目指します。
二人一緒には渡れない道を一人で行った後、
熊が待っていろというのを無視し、
一人で歩き出し、施設にとらわれます。

施設ではつかまってひどい目に合わされかけますが、
ちょうど来た悪者の女に救われます。
悪者の女が主役を助けたのは、実は主役の母だからと
言いますが本当かどうかはわかりません。

主役は施設を壊し、さらわれていたこどもたちを救い、
脱出します。
施設の悪者たちがやってきますが、
主役の仲間たちもやってきたので乱戦になります。

どうにか主役たちが勝ちます。
主役はおじを助けに行くといいます。


……というようなお話です。

これはもう、はじめの段階からつまらなかったです。
見ているのが苦痛なレベルでした。

まず、最初の設定からわけがわかりません。
普通、人間の魂は体と一緒にあり、
体が消滅すると魂も消えますが、
その世界では、魂は肉体から離れて動物の体として
そばにあるのだそうです。

でも、映画では、魂だという動物は自分の意思を持っています。
一方で人間本体も、自分の意思を持っています。
動物の側に意思があるのなら、
人間側が自由にしゃべったり行動したりするのは、
何がさせているのでしょうか?
まるで魂が二つあるようです。
わけがわかりません。

そんなよくわからない設定の上で、
人間の体と動物を分離するとか、
北極かどこかから変な光が降り注ぐと
人がおかしくなるとか言われても、
だからなんだとしか思えません。

それから、タイトルにもなっている黄金の羅針盤。
羅針盤といえば、船乗りが使って自分の航路を確かめるような
ものですが、作中の羅針盤は、使える人が使って質問をすると、
脳内にその答えが浮かんでくる、というような
占い師の水晶のような道具です。
これのどこが羅針盤なのかまったくわかりません。

たとえば、「1+1の答えはなに?」とたずねれば、「2」と
出してくるような道具は、羅針盤でしょうか?
またたとえば、「○○王が王になるために行った事は?」
とたずねて答えを出してくるのは羅針盤でしょうか?
そんなもの、電卓とインターネット検索でしょう。
どこが羅針盤なのかと思うといらつきました。

また、世界の設定もすごく適当です。
中世ヨーロッパのような世界観なのかと思いきや、
こどもたちが誘拐されている施設は
現代アメリカの研究所のような設備が普通にあります。
何をやりたいのかまったくわかりません。

動物もよろいを着る上にしゃべる、
よろい熊というものが出てきましたが、
よろいは隕石から自前で作っているのだそうです。

ではいつか、隕石が足りなくなってよろいを着られなくなったら、
彼らのアイデンティティーはどうなるのでしょうか。
そもそもいつごろからよろいが作られるようになって、
それまではどうしていたのでしょうか?
はじめから本能でよろいを作り、自分たちをよろい熊と
称するようになったのでしょうか。

人間であれば、最初に腰みのをつけて生活していたと
適当な本では述べられていますが、
そうなると人間の種類はよろい熊よろしく
腰みの人間になってしまいそうです。

しかもよろい熊は、はやく走るのに邪魔だから
今回はよろいは置いていくなどと言い出します。
よろい熊がよろい熊である意味はどこにあるのかが
まったくわかりません。

さらにはしゃべる熊なんて、しゃべる動物である
魂たちとほとんど変わらない気がします。
違うならそこのところを示してほしかったです。

ほかには、怪しげな人物たちが出て、
見ていてこれはどうなのだろうと思うのですが、
勝手に仲間になっていて、まともな行動をするところに
なんだか割り切れなさを覚えました。

それならいっそ、この人は仲間にしていいのか、
正しく仲間にするにはどうするのかというのを
不思議道具にたずねて欲しかったです。

主役も無駄に一人で行動して二回もさらわれるわりには、
何か特殊能力があって戦えるというわけでもない非力ぶり。
その行動も行動原理にもいらいらしました。

この映画は、とにかく設定が甘く、ちぐはぐで、
何をやりたいのかがまったくの謎です。
見ていて意味がわからず、何を見ればいいのかもわかりません。

途中止めようかとも思いましたが、
どうにか見終わることだけはできました。
本当につまらない映画でした。