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2013-10-15
7つの贈り物
SEVEN POUNDS
2008年 アメリカ
主役は飛行機関係の設計技師かなにかですが、
携帯電話を見ながらの運転で、恋人を含め7人を殺したあと、
やめました。

その後、主役は自分の肺を弟に提供します。
それ以後も、自分の体をほかの人に提供していきます。

贖罪のために、自分が殺した人と同じ人数に
自分の体を提供すると決めていた主役は、
必要としている人を探していきます。

心臓移植が必要だった女性に近づき、
心臓を提供するに値する人間なのかを調べていくうちに、
二人はお互い恋に落ちます。

そのうち主役の弟に、主役が身分詐称でいろいろな行為を
していることがばれます。
主役は説明するのを避け、その晩に心臓の提供者と
なったのでした。


……というようなお話です。

開始早々で自殺するというシーンが出てきて、
その後見ていたら、開始40分くらいで主役が関わる女性が
心臓移植を求めているという情報が出てきます。
ここで、主役は移植用心臓の提供者として
自殺するんだろうなとわかったので、
意外性などは一切ありませんでした。

ただ、愛する女性のために自殺するのだと思っていたら、
終わり間際で、自分の脇見運転のせいで7人殺したから
その罪滅ぼしのために7人を救うのだというような
目的が明らかになります。

愛のために死ぬならまだしも、その動機が出てしまったせいで、
この映画自体を見ている気分がすごく悪くなりました。

7人殺して、死にそうな別の7人に体などを与えて
生き延びさせたら、誰が救われるのでしょうか?
親しい人を殺された肉親が、殺した相手が他人に体を提供し、
最後は提供するために自殺したと聞いて、救われるでしょうか?
提供された人も、罪滅ぼしのために、最初から死ぬつもりで
自分の体を提供していたとわかって、救われるのでしょうか?

なんだか、男のずれた独りよがりを感じてしまって、
すごく微妙な気分になりました。

男は、自分の体を相手にあげていいかのテストを
自分自身で行います。
相手を口汚くののしるシーンでは、見ていられなくて
すこし飛ばしました。
あのテストになにか意味があったのかと疑問が残ります。

自分は問答無用に相手を殺したけれど、
自分が体をあげるのは自分が認めた善人限定、
という信念もどこかそらぞらしいです。

それよりも、罪滅ぼしなら、自分が今勤めていた職場の
技能を基にして特許をとり会社を作り、
働きたいのに働けない人たちを積極的に雇うようにするとか、
そのお金で遺族にお金を払い続けるとかのほうが、
みんな救われたのではないかと思ってなりません。

見ている間も見終わった後も、微妙な気分になりました。
全体としては、おもしろいともつまらないとも言い切れない、
どちらとも言えない映画でした。