1649
2016-05-04
スノーピアサー
SNOWPIERCER
2013年 韓国/アメリカ/フランス
舞台は近未来ヨーロッパのあたりです。
主役は列車に乗る一般市民の男です。

近未来のヨーロッパで、変な技術が失敗して
世界は寒冷化しました。
そこから逃げるために列車が出発しました。

先頭のほうには金持ちや権力者が乗り、
最後尾には一般市民で運がよかった者だけが乗りました。
一般市民は奴隷や家畜のような扱いを受けていました。

ある日、一般市民の主役は反乱を起こします。
うまく進んで、主役と数人は列車の支配者のところまで行きます。
主役だけ支配者と会うことになります。

支配者は列車の種明かしをします。
列車はそれ自体で小さな地球のような循環を保っています。
列車の支配者は、機構は機構として成り立っているので、
交代してもいい、主役と変わっていいと言います。
でも主役は、奴隷や家畜として扱われている一般市民の待遇が
納得できず、列車を認めません。

同じく列車を認めなかった男は列車を爆破します。
列車は脱線して二度と使えなくなりました。
死者も大量に出たようすです。


……というようなお話です。

基本的には、列車は社会主義国の象徴だとすると、
話の筋がわかりやすくなります。

一見平等をうたいながら富を独占する一部の富裕層のために、
多くの一般市民が奴隷のような搾取を受けています。
それに反乱するのが主役です。

だいたいそれだけの話で、大体は胸糞悪い場面が出てくるので
見ているのが苦痛でした。

主役のクーデターが成功したのだから、
主役が真の民主主義を作ってもよかったし、
社会構造を逆転させてもよかったのです。

でもやったことは、主役じゃない人間が、
外へのドアをこじ開けるのではなく、
列車ごと爆破することです。

その結果、ほとんどが死に、生きている人間も支えすらなく
外敵に食われて終わるような話になってしまいました。

列車を普通に止め、そこを拠点として町を作ったりすれば
よかっただけの話だと思います。

設定も、国と列車を掛けたのはちょっとおもしろいと
思いましたが、それだけです。
象徴なら象徴で全編象徴らしくすればいいのに、
余計な映像や設定も入っていたので、
本当に象徴なのかも断言はできません。

たとえば、列車内で作られる食べ物は高級食材やなにかは出さず、
乗っている一般市民の肉がベースとなっているとしたほうが、
一般市民の血税や血肉を食いものにしている富裕層、
という図がわかりやすくなったはずです。

それ以外にも、いろいろ合わない点があり、
象徴だとすると中途半端で、SFだとしても中途半端、という
全体的に中途半端な内容に見えました。

保線作業をしないのにどうやって走り続けているのか、
走り続ける列車の台車はどうやって保っているのか、
なぜドアを開けると言っていた人間が列車ごと人を
大量に殺すのか、など、疑問に思う点も微妙でした。

列車の中に国を作って、胸糞悪い映像と話で
社会主義国を皮肉ってみました、というだけの内容です。
その視点だけはすこしおもしろかったですが、
全体としてはどちらかといえば、つまらない方向の映画でした。